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いろいろと備忘のための

構想20年、冨樫義博の新作

藍学――――冨樫氏は《HUNTER×HUNTER》において、ヒューマニズムに対する警鈴と、催眠術的な執拗さ、という驚きを、我々に与えてきた。人気作家は、作品の一部におけるカルト的な評価と大衆的なポピュラリティの堅固さによって、崇拝される一方、彼のnegligenceによってその作家としてのプロ意識を疑う声も見受けられた。


















しかし、どうやら我々はこのベストセラー氏を過少に見すぎていたようだ。そう、氏の執筆ペースは単なるnegligenceではなく、「身体的不健全性の結実」でさえなかったのである;この点に関する氏の強かさに、我々は驚くこととなる。


《藍学》は、氏がsci-fi作家としての評価を確立した《レヴェル・イー》*1を執筆したのち、着想が得られた。「私がこのアイデアを捉えたのは」と氏は言う。「便所掃除をしていたときだ。ダスト・シュートを拾い上げようと身を屈めたとき、私は腰を上げることができなかった。こういうことはしばしば起こるんだけどね。その時ふっと、この概念が頭を掠めた。すぐに便所からでられれば良かったんだけれど、どうしても腰のが元どおりにならない。紙とペンを用意しておけば、すぐにアイデアを書き留めることができたんだけどね。その日はたまたま紙を切らしていた。―――もっとも、toilet paperはあったのだけれど―――そうやってアイデアはすぐに忘れてしまったんだ。そういうわけで、構想を具現化するのに20年もかかったというわけさ。」


我々が現時点であなたに提示できる情報は次の2つだ―――第一に、タイトルは《藍学》であり、蒼学とは作品世界の根幹をなすシステムを示している。《HUNTER×HUNTER》における「念」は、「藍学」のための習作である(これらは冨樫氏が明言している)。第二に、プロットや登場人物についてはその一切が明かされていないが、第一話は《デイリー・ミラー》の2009年第13号において掲載されることが、決定している。



これら以外に、我々はこの新しい作品を巡る全てを知らない。しかしあなたは、この天才の隠されていた秘密を知り、驚嘆せずにはいられないであろう









―――――Steven Silver "falsehood" 2009 april 1 より引用

*1:訳注:"Level E"。邦訳は集英社から『バカ王子はエイリアン』という邦題で集英社から199×年にハード・カバーで出版されている