ジャン・ボードリヤール『象徴交換と死』
- 作者: ジャンボードリヤール,Jean Baudrillard,今村仁司,塚原史
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1992/08
- メディア: 文庫
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訳者解説によると《フランスの著作家は社会学者にあっても文学的な文彩を意図的に偏愛》するそうなのだが、このへんは先日読んだウラジミール・ジャンケレビッチの著書で苦しめられたお陰で、ある程度読みづらさは軽減されたように思う。
経済学を経済学の外側から見るという意味でも興味深い。経済学では、議論を数学的に行うために、「そもそも」の部分を極々簡単な形に仮定する。その「そもそも」の部分を踏み込んで考えると、社会学や現代思想になるのかなと。どちらが良い悪いではなく、こういった議論を知っておいてもいいと思う。
システム対個人、権力対奴隷といった議論は、村上春樹の小説を念頭に置いて考えると、割と分かりやすいように思った。曲解かもしれないが、ボードリヤールのいう「象徴界」は、村上作品ににおける「あちら側」に相当するのかもしれない*1。少なくとも、思想家にしろ、小説家にしろ、現代という時代で何を問題としているのか、という点では同じなのな、と思った。