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いろいろと備忘のための

『思春期をめぐる冒険―心理療法と村上春樹の世界』

図書館で予約していた『1Q84』ようやく順番が来た。明日にでも取りに行きます。正直、今あんまり小説っていう気分じゃないんだけど笑 
というかちょっと前に村上春樹作品をいくつか読み返してみたのだけど、意外にもあまり心揺さぶられず、自分の気分がかなり村上春樹から離れてきているのだなと実感した。二年前くらいまでは、村上作品は自分のかなりの位置を占めていたし、それまでろくに小説なんて読まなかった(今もそれほどよまないが)私にその面白みを教えてくれたという意味では、今でもその存在は大きいと思うけれど。

思春期をめぐる冒険―心理療法と村上春樹の世界 (新潮文庫)

思春期をめぐる冒険―心理療法と村上春樹の世界 (新潮文庫)

この本は、臨床心理士である筆者が、カウンセリングを行う中で多くの患者が村上春樹の小説を読んでいるということに注目し、実際の臨床の事例を追いながら、主に「思春期」のありように迫る、というような内容。私が読んだのは一年ほど前で、これまで読んだどの村上春樹の解説本より面白かったし、カウンセリングのドキュメンタリー的にも面白い。特に、絶対音感をもつ母親が、思春期の娘との問題を乗り越えていくなかで「世界の音がすべて半音下がって聞こえるようになる」など、まるで『ねじまき鳥クロニクル』で主人公が「壁抜け」の後に不思議なあざができるのに似ていて、印象的であった。
この本の内容に深く納得させられ、なぜ自分が村上作品に惹かれるのかという理由がわかり、村上作品の「謎」が暴かれてしまったような気がした。村上春樹の小説にあまり惹かれなくなったのは、そのことが理由だと思う。