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いろいろと備忘のための

『比喩としての世界』 多木浩二著

(なぜかアマゾンでいくら検索しても見つからないので、「はまぞう」はなしです悪しからず。)

ここのところ写真関連の更新が多いが、こちらも写真論を含む評論/エッセイ集。飯島洋一『建築と破壊』で参考文献として挙がっていたので読んでみた。
読んでいての印象は、文章一つ一つにこめられた情報量が豊富で(というか、一つ一つ理解するのに背景知識を要する、というか)、思考を促すきっかけに満ちている、という感じ。ざっと流し読みしているとそれがよくわかる。なんとなくですが。
ロラン・バルト記号論関連の箇所は、議論が込み入ってくるとやっぱり難しい。それでも、これまでいろんなところで記号論っぽい議論は目にしてきたので退屈するというほどではなかった。一応読めた。芸術を記号論的に考察することに関して少しは理解が深まったような気がする。特に最後に収められた「歴史の詩学」は面白くて一気に読んでしまった。
恣意的にメモることは避けていた&思い出して解説するほどにはとても頭に入っていないので、内容については言及できません笑*1
あと、この著者の写真論をまとめたものとしては以下のものになります(こっちは図書館になかったので未読)。

写真論集成 (岩波現代文庫)

写真論集成 (岩波現代文庫)

*1:追記:ちょっとだけメモが残っていたのを発見。…「ファシズムは、本来ならば現実に持ち込むべきではない『芸術のエクスタシーの現実化』であった」とか、芸術における新古典主義と政治におけるファシズムとの類比など、ファシズムを論じた箇所が印象に残っている。そういえばこの間読んだポランニー『経済の文明史』においても、ファシズム論が一番面白かったような。