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いろいろと備忘のための

ハイエク 知識社会の自由主義

ハイエク 知識社会の自由主義 (PHP新書)

ハイエク 知識社会の自由主義 (PHP新書)

ヤフーメールのデータを整理しておいたところ、09年5月ごろにメモってバックアップしておいたデータがでてきたので記録のためにここにあげておきます

4自律分散の思想
■知識の分業divhsionofknowledge。この概念がのちに知識をベースにした市場の理解や自生的秩序の概念につながってゆく。
価格メカニズムの謎
■市場の効率的な資源配分の前提:完全情報。《完全情報の仮定が現実には満たされていないのに、市場がそれなりに機能するのはなぜなのか?》。論文「社会における知識の利用」。
■客観的知識と個人的知識の区別。
■あらゆる情報(計画経済において客観的知識として伝達できない知識まで)が価格という一般的知識に翻訳されて伝達される。
■現実においても去年の資源高騰はまさにこの例。
■だとすれば、「メディアが不況不況と騒ぎすぎてさらに不況になる」なんてことは都市伝説である、といえまいか?
競争と独占
■考えてみれば確かに、《参入退出自由》や《売り手買い手多数》は競争の条件としてわかりやすいが、競争と直接関係ない《完全情報》が入ってるのは変だな。
■このような観点からみると、《競争によって価格と限界費用が均等化し、利潤がゼロになることで効率的な資源配分が実現する》という競争原理の説明を《奇妙な理論》であるといえるらしい。なぜ?
新古典派は《完全競争か不完全競争か》ということを問題にするが、現実に完全競争はあり得ないので、この比較に意味があるのかどうかは疑わしい。問題は競争があるかないかということ、市場を介した情報伝達がちゃんと機能しているかどうか、ということである。
■競争政策。ハイエクやスティグラーは、超過利潤があるとすればそれは新規参入のチャンスになりので、規制は必要ないと主張。
計画主義の危険
■「市場の失敗」より「政府の失敗ははるかに害が大きい。
ハイエクは「社会を特定の目的のために計画的に動かす」計画主義を批判。
神経細胞の秩序
ハイエクの思想「自律分散的な主体が相互作用することで自生的秩序が産み出される」。
ゲシュタルト心理学人工知能の「フレーム問題」。脳科学者エーデルマン。ニューロエコノミクス。著書『感覚秩序』。
3社会主義との戦い
朝日新聞は左寄りだから、中国の文化大革命わ称賛していた。
■左派とリベラルを似た者と思ってたが、リベラルは共和党寄りなのか?つい20年前まで、マルクス経済学が「左派」で古典派経済学は「右派」だったんだから。
その以降期の大学の経済学教育はどうだったのか。また昔の関学経済学部はどっちだったのか?

2ハイエクケインズ
「『一般理論』は政策のパンフレットだった」という揶揄。ではマクロ経済学は何だったのか?「経済学を学ぶ人へ」の本の『一般理論』に関する記述はなんだったのか?
自由放任の終焉
パンフレットとしての『一般理論』
不確実性の思想
■「リスク」と「不確実性」は異なる。リスクは単に計算できるもので、「不確実性」は欧州で戦争がおこるか、とか景気がどうなるか、とか人々の心理で左右されるもの。
■不確実性の思想においてケインズハイエクは似てる。
■戦後しばらくケインズ政策が『一般』であると信じられたことで、戦後世界は慢性的インフレに。
1
■世紀末のウィーン、1899年に生まれる。ハフスブルク家による帝国がWW1によって三國に解体される少し前。
■この時代の退廃したウィーンから芸術、科学ともに花開いたのは奇跡的。新ウィーン学派クリムトなど表現主義カンディンスキーの抽象画、物理学理論の完成、量子力学の誕生。
8
法哲学的な議論が多く、わかりにくいが、後半はこれまでの授業で聞いた話も多く、面白かった。

7自生的秩序の変化
■自生的秩序とは、人為的な秩序(タクシス)でもない、自然発生的な秩序(コスモス)でもな、これらの中間的な性質をもつ秩序のこと。言語や慣習など。
見えざる手
■スミスの「見えざる手」は『国富論』のなかで一度しか登場しない。
秩序の進化
■ばらばらの経済行動がなぜ福祉を最大化するのかという、古典派経済学の最大の命題。
トポロジー不動点定理といった高度な数学。
古典力学はすべての物理現象を説明できるが、新古典派経済学はほとんど現実の経済現象を説明できない。経済現象を古典力学のモデルで説明するのはそもそも無理。
■そこでハイエクは進化の概念を用いた生物学モデルを構想。しかし自然界と違い経済社会はルールがなければ崩壊する。略奪など。


ルールの功利主義
■現在の経済学の主流は、ベンサム以来の「最大多数の最大幸福」を目的とする功利主義に基づく。パレート最適、効用。ハイエクはこれを否定した。
功利主義は「監視社会」の発想と表裏一体。
■公共経済学づ習った「投票のパラドックス」。グー〉チョキ〉パー〉グーの無限ループ。アロウの「不可能性定理」。これの意味は《個人の合理的選択を民主的に集計して一義的な結かをつねに出すことのできるメカニズムは存在しない》てこと。
■自由度を最大化するようなルールが望ましいという発想を、ハイエクは「ルールの功利主義」とよんだ。効用を最大化するという目的には意味がないが、自由度を最大化するルール設計は必要。現代のファイナンス理論でいう「オプション価値」を最大化するルールに相当する。
目的のない秩序
ハイエク社会主義のような「ユートピア社会工学」を否定、ポパーが提唱する「ピースミール社会工学」をも否定した。
■個人が自分の利益のみのために行動すると予定調和が出現する(経済学の自由主義)の根拠はなにか?「囚人のジレンマ」との折り合いは?(自由主義の想定する状態を、ゲーム表で表すとどうなるんだろう)
■進化ゲーム理論におけるロバート・アクセルロッドの実験。この実験では「相手が協力したら自分も協力、裏切ったら自分も裏切る」のプログラムが価値残り、「正直が最善の戦略」の例としてよく引用されるが、これはとし伝説。実験は同じ相手と一対一のゲームを繰り返すという特殊な状況であった。多くの戦略を一斉に競わせる実験では、相手を問わず裏切る「邪悪な」戦略が強い。裏切った相手と二度と会わない大都市で犯罪が増えるのと同じ。メンバーの利害が一致しない社会では、進化によって自生的秩序が形成されるという根拠はない。
集団淘汰と部族社会
ウィリアム・ハミルトン利己的な遺伝子」理論
■新しい「多レベル淘汰」の理論。
行動経済学や実験経済学の結果を、こうした進化心理学で説明しようとする実証研究は現在の経済学のフロンティアである。
■個体レベルの淘汰と、集団レベルの淘汰
ハイエクの「部族社会」

6
サミュエルソンの教科書に代表される「新古典派総合」。我々が今学部で習ってるやつ。ミクロとマクロは繋がらない。マクロにおいてなぜ有効需要と総供給が一致しないのか?
ケインズ政策newdealは本当に正しかったのか?
フィリップス曲線(物価と雇用のトレードオフ
■70sスタグフレーションによりケインズ政策からシカゴ学派フリードマンらが注目される
■結局、なぜバラマキ、ケインズ政策は駄目なのか?→インフレ?
■30年代のようにデフレ+高失業のときは、インフレの心配がないため、ケインズ政策もある程度有効。
■《選挙が近づくと景気対策が行われてインフレになり、選挙が終わると不況になる「政治的な景気循環」が起こるようになる。》
■「ケインズな財政政策は先進国ではほとんどなくなった。日本の90sの景気対策は効果がなく、財政赤字を残しただけ」。これって本当?わからないな。西田先生の話とかなり違うし、ITバブル崩壊のときのアメリカの財政政策や、現在のオバマ下の景気対策はどうなの?
ハイエクフリードマン
フリードマン論理実証主義&アメリカ的プラグマティズム、軽量や実証重視。ハイエクは《ヒュームの懐疑》、懐疑主義+《敗戦後のウィーンのニヒリズム》、哲学的な思考。
フリードマンの自然失業率理論がケインズ理論を倒した。
■リフレ派=人為的インフレーション
サッチャーレーガン改革は労組が主要な敵、日本の改革は官僚機構との戦いであった。この点が難しかった点。
■《竹中氏の政策は、かつては過激な新自由主義だったが、現在では経済学的に常識的なことをしたまで、と捉えることができる。
9
■インターネットも、資本主義も、中心が存在しない《絶えず自己破壊を繰り返してしんかする》という意味で「複雑系」である。ノーバート・ウィーナーのサイバネティックスイリヤ・プリゴジン非平衡系の熱力学。「複雑系」、「自己組織化」の科学
ノイマン型のコンピューターは、《世界を機会と考え、それを人間が紙のように外からコントロールする個展力学的システムである》。
ハイエクは『感覚秩序』でニューラルネットの原理を予言していた。《自生的秩序の科学としての経済学》を構想。
社会主義や「マルチメディア」構想は《集権的》で、資本主義やインターネットは《自制的》、《自己組織系》、《複雑系》である。
■インターネットの創始者デヴィッド・クラークの言葉「我々は王も大統領も投票も拒否する。信じるのはラフな合意と動くコードだ」。
著作権の問題ハイエク著作権が《人々の創造性を高めるもっとも有効な手段かどうかは疑わしい》とし、知的財産権を一般的な財産権程度に留めるべきであるとしている。現代の多くの経済学者も概ねこれに同意。ましてや死後50年の著作権保護の便益がコストに上回るとは考えにくい。
■↑産業組織論の教科書にこんなこと書いてたっけ?
■《経営学ではイノベーションは最も重要な課題》。
■ミーゼス。カーズナー「企業家精神」
■ICT産業におけるイノベーション。産業プロジェクトはアナクロニズムである。国家はすべきことは?(過去の講義の復習にも)。●参入障壁(ボトルネック)の撤廃。●電波の占有の撤廃●ファイナンスの多様化、リスクをとる野心的な企業が出てきやすいように。シリコンバレーベンチャーキャピタル。資本開国●労働市場規制撤廃
■「ハイエク問題」とは。
理論的で少しムズい。●《問題は複数均衡のもとでの均衡選択をどう考えるかということ》。●高い山と低い山の例え、日本式「すり合わせ」による改良。●「メタ進化論的」なアルゴリズム遺伝的アルゴリズムのような突然変異を利用したメカニズム=参入障壁撤廃によりイノベーションが発生。●《ハイエクの進化論的経済思想》は《これからますます大きな意味を持つだろう》。

はじめに
金融工学的に『100億年に一度』のはずの金融危機が、10年に一度起こっている
■数学者ナシーム・タレブの著書
■《ハイエクの本は、よくも悪くも専門的な経済学や法学の本ではないので、文体は平易であり、基本的な発想を理解すれば、あとはその論理的な展開として読める》