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いろいろと備忘のための

秘教的な陶酔感

フォーレ:レクイエム

フォーレ:レクイエム

  • アーティスト: クリュイタンス(アンドレ),フィッシャー=ディースカウ(ディートリッヒ),アンヘレス(ヴィクトリア・デ・ロス),エリザベート・ブラッスール合唱団
  • 出版社/メーカー: TOSHIBA-EMI LIMITED(TO)(M)
  • 発売日: 2007/06/20
  • メディア: CD
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フォーレを愛し、理解することは、(中略)洗練された感受性と真正の詩精神の証明書とも思われる。(中略)フォーレの音楽の周りには、自然に親愛な改宗勧誘熱がわき起こる。そうしてその伝授を受けたものの間には、道徳的な小さい連帯と知的な優しい交流が作り出されるのだ――。」(エミール・ヴュイエルモ)

↑記事のタイトルとともに、ライナーから引用。




以下、高崎保男氏によるライナーで印象的だったところをメモ。引用部分は《》で記す。

  • 後期ロマン派音楽を示した言葉:《拡大され解体された感覚の麻痺》、《人間感情の誇張》が印象的であった。この「感覚の麻痺」という点が、ロマン派音楽が新ウィーン学派へと繋がるポイントなのだろうか?‥まあ、こういったレトリックにあんまり左右されるのもどうかとは思うが。
  • フォーレはこれまであまりチェックしていなかった。《レクイエム》がなかなかいいので、中期、1880年ごろ以降の作品を他にも聴かなくては。
  • 正直、歌もの(と呼んでいいのかわからないが)には抵抗があったのだが、歌が入っていても、意外とすんなり聴ける。
  • 《楽曲全体としては二短調の調性が基調となっているものの、むしろ中世の教会調の旋法やフォーレ独特の近代的な調性感覚と和声法によってぼかされ、全くユニークな美しい響きと効果が生み出されている》
  • 《管弦楽はごく一部分で荘重な効果を助けるために補助的に用いられているにすぎず、高音弦が華かな旋律を歌い出すことは決してない。オルガンもまるでコンティヌオのように、声を保持することを目的として用いられている。》
  • ライナーノーツの後半では、《神秘》〜《教会音楽としての信仰のあり方》〜《ゲルマン系音楽の論理性とそこからくる緊張感》といったことと、《官能》〜《感性の解放》〜《ラテンの感性がもたらすやさしさ》とが対比的に語られている。ここでは指揮者であるクリュイタンスの表現について、こうしたドイツ音楽とフランス〜ラテン音楽の対比を用いて論じている。私は、クラシックでしばしば用いられるこの比較を(私がこれまで親しんできた)ポピュラー音楽と擦り合わせて解釈している。



うーむ、フォーレも凄くいいなあ。まずはドビュッシーに浸れるだけ浸って、それから他の作曲家に移ろうと思っていたんだけど。いろいろ移り気してしまいます。