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いろいろと備忘のための

点描主義の絵画



先日ヴェーベルンについて書いた記事で、点描主義の絵画に言及したので、ついでに取り上げておきます。
いずれも、点描主義を代表する画家であるジョルジュ・スーラの作品です。やはり画像だと分かりにくいのですが、大判の図書などで見ると、ほんとに光の表現というか、見ていてまばゆいくらいに、心地よい明るさを持っています。
点描主義については、先日のヴェーベルンの記事で、以下のように書きました。まあこちらに書いたように、ヴェーベルンにおける「点描」とは関係がないようです。

後期ウェーベルンについてよく「点描的」とか「簡素な点描様式」と言われることがある(同様の表現はモートン・フェルドマンにも見られる)けれど、これはどうやら美術における「点描主義」との関連はなさそうだ。美術における「点描主義」とは、ジョルジュ・スーラに代表される新印象派の画家が用いた技法で、単に絵具を混ぜて色を作ってキャンバスを塗りつぶすのではなく、いくつかの絵具で細かい点を描き、非常に丁寧にキャンバス上を点で埋め尽くすことによって、視覚的効果を得る技法のことを指す。こうすることで、普通にキャンバス上を塗りつぶすよりも色味が明るくなり(これには眼の仕組み、医学的/自然科学的裏づけがあるらしい)、印象派が目指した光の表現をより押し進めることができるのである。ウェーベルンやフェルドマンにおける「点描的」というのは、空間にポツン、ポツンと音を置いていくような書法を指しており、「点描主義」の「点を敷き詰めて、遠くから見ると点ではなく一面に塗ってあるように見える」というのとは異なる。

印象派の「光」の表現のために、自然科学の知見を参照した、というところがポイントではないかと。



こちらはオランダの画家、ヤン・トーロップのもの。この人はむしろ象徴主義アール・ヌーボー的な作風や晩年にカトリックに改宗して以降の宗教画などで有名なようです。ここに挙げたものは、作風を変化させる前、スーラの点描主義に傾倒していた頃の作品です。