司馬遼太郎『関ヶ原』
- 作者: 司馬遼太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1974/06/24
- メディア: 文庫
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上巻を読了。
会社の先輩の勧めで、先に『城塞』の方を読んでいたので、三成など関ヶ原で死んだ人以外の人物像は大体把握した状態で読み始めました。願わくば、『関ヶ原』から先に読みたかった。『城塞』なんて前半は家康以外の登場人物が地味で、ちょっと楽しみづらかったですからね。
よく司馬遼太郎は家康嫌いと言われますが、個人的には秀吉に並ぶとも劣らず魅力的に描かれているように思う。様々な策謀を繰り広げる様は、例えは悪いですがデスノートとかみたいで痛快です。
司馬遼太郎の長編作品を読むのは『播磨灘物語』、『城塞』に続いて三作目となるが、この超が付くほどの国民的作家の作風というか作家性というのがどことなく見えてきた気がする。様々な人間模様の交錯、それがドライかつフラットに描かれている。人間観察というか、人、について、書を通じて学ぶ、的なところが司馬作品に通底する魅力であり、また、ビジネスマン等大人が嗜むべき娯楽、とされている所以なのかなと思っている。描き方がどこまでも中立的(に私には思える)でドライなので、時代小説といってもいかにもな仰々しさがなく、そういうところが現代においても読まれ続ける理由なのかなと。個人的にも、日本史とかもともと興味なかったので、仰々しい感じだったら読破できなかったでしょうね。
ただ(批判するつもりは全くないけど)、女性の描き方についてはどうしても不自然というか、ここまで人間をつぶさに描き切る作家ながら、女性についてはリアリティがなくてアバターになってしまってますね笑 家康の伽のシーンとかは別にあってもいいんですけど、三成と初芽のピュアラブとかはあんまり見たくなかった笑。ほんと、女性の描き方については、村上春樹のような感じがします。まあ、そういうものまで司馬遼太郎に求めたところで仕方がないんですけどね。
まあ、これほどの作家の作品って、歳とってからでも楽しめるだろうし、今のうちに出会うことができてよかったなあと思う次第。戦国はひと段落して、幕末ものでも読もうかなあ。読むなら、関西舞台の作品があったらいいなあ。 あと、東大阪にある司馬遼太郎記念館は自転車でいってみたい。
あとね、余談ですが、とうじの大阪城の敷地って今よりずっと広くて、例えば南側の門はいまの本町あたり?だったかな?まであって。なんでも10万人を収容できたらしいです。当時の大阪の地図を見て見たいのですが、ネット上には簡易的なものはあってもなかなか見つからず。どっかそうう類の資料館でもあれば見に行きたいです。